カプロイア社の車輛部門が飽くなき「走り」への回答として、満を持してリリースするモデルが、この『Sabik (サビク)』である。

 グラマラスなボディと、それとは相反する様にコンパクトに纏められた2シーターキャビン。
 全長に対して長めのホイールベースに、前後を切り詰めた様なショート・オーバーハング。
 地を這う様なワイド&ロー・フォルムと、前方を射抜くかの如く攻撃的なフェイスマスク。

視覚的情報だけをとってみても、この車がファミリー・ユースやラグジュアリー路線とは縁遠い存在である事がお判り頂けるだろう。
このモデルは所謂「エントリーモデル」ではなく、あくまでも「速く走る」事のみを目指して開発された『マシン』であり、上記の様なエクステリアのみならず、そのネーミングにも開発意図が如実に反映されている。

『Sabik(サビク)』…制圧者/勝利者を指す、へびつかい座イータ星の固有名詞から取られたその名は、当車が『陸路の覇者』として君臨すべく生み出された車である事を表現し、それ故にこの名を冠している。


では、各部を見て行こう。

 まずエクステリアで目を引くのが、前方に跳ね上がる様に開放される「ガルウィング」スタイルのドア・パネルだ。
これは奇を衒ったものではなく、上方にドアを開放させる事で、車輛左右のスペースを気にする事無く乗降出来る様に…と言うのが、このスタイルを採用した大きな理由である。
 だが、純粋なガル開放タイプと言う訳ではく、横に25°の角度までは通常の車輛同様に開ける事が出来る。
その0〜25°までの開度の間、5°以上開いてさえいれば、任意の角度でドア・パネルに上方への力を加える事で左右方向へのロックが掛かり、上下方向へのロックが解除され、上方へ跳ね上げる事が出来る構造となっており、実用性を考慮した上での採用となっている。
 …とは言え。
この様な特殊な車に対する「所有欲」を満たす上でも、ガルウィングスタイルを採用した…と言う理由も否定出来ない様ではある(笑)。

 次に、如何にもスポーツカー然としたボディそのものだが…
空気の流れを想起させる様な滑らかでグラマラスなラインを持ちつつも、随所に効かせられたエッジと、左右に大きく張り出した前後のフェンダーやダクト類の存在によって、見るものを圧倒する様な力強さをも併せ持つシャープなイメージとなっている。
 そのボディサイズは、全長4105mm×全幅1985mm×全高1200mmとややコンパクトながら非常にワイドで低いものとなり、ホイールベースは高速域での安定性を求めた結果、2550mmとボディサイズに較べて長めなものとなっている。

 また、このボディには上記のガルウィング同様に「趣味」の部分も盛り込まれている。
その最たる部分が、小振りな上にフェンダーに据えられたサイドミラーと、電動で開閉されるハードルーフと言えるだろう。
ミラーは、見た目上では「これで後方視界が確保出来るのか?」と思える程に小振りだがその心配は全く無用である。
なぜならば、見た目こそ「サイドミラー」だが、その実は後方視界を車内モニターに表示する為のCCDカメラが装備されているに過ぎない部位なのだから。
 そして、電動開閉式ハードルーフ…
こちらは、走行中のルーフ開放を可能とした上でバランスの取れた「ロードスター・スタイル」を実現する為に、「トランク収納型」とはしていない。
トランクへルーフを収納する為には、当然ながら一度トランクを開けなければならない。
そのプロセス自体で時間を要する上に、走行中にトランクを開ける行為自体、空気抵抗以外のなにものでもない。
依って『Sabik』は、開放したルーフを後方へスライドさせ、そのままトランク上に下ろす形を執る。
その後、サイドウィンドー後部のダクトを備えたピラーがルーフの上に覆い被さる様に倒れ込み、ヴィジュアル的にも構造的にもルーフを固定するのである。
 この場合、ルーフ開放後のトランク上面への傷などが懸念点だろう。…だが、その辺りも抜かりは無いらしい(笑)
ルーフ内装にはクッション性に優れた素材を用い、開放後トランク上面とは微かなクリアランスを残したまま完全に固定されると言う事だ。

 この辺りは「純粋な速さのみ」を追い求めた車でさえも、遊び心を忘れないカプロイア…と言えるだろうか。
また、電動開閉式のハードルーフは、能力者に対し様々なKvを送り出しているカプロイアである為に、車上での戦闘行為も考慮している…と言えるかもしれない。


 更に車内へ目を向けてみると、コクピットの中央を前後へ貫く如何にも剛性の高そうなセンタートンネルが目を引く。
これはそのまま、プロップシャフトやリンケージ、更にはあらゆるハーネス類を収めるスペースとなる。
このセンタートンネルの存在により、運転席と助手席は完全に隔絶された空間を作り出し、そのシートに収まる者に対しては、カッチリと身を包んでくれる様な安心感をも齎してくれる。

 ★【Sabik】SPECIFICATIONS ★
全長x全幅x全高 4105x1985x1200mm
ホイールベース 2550mm
車輛乾燥重量 1030kg
エンジン形式 V型6気筒
ミッション形式 6速シーケンシャルMT
駆動方式 トランスアクスル式FR
Frタイヤサイズ 245/40 ZR18
Frトレッド 1680mm
Rrタイヤサイズ 305/30 ZR19
Rrトレッド 1665mm

ここで、この車のバリエーションも紹介しておこう。

 メインとなるモデルは、ここで車輛画像を紹介しているモデルとなるが…
このモデルは、シーケンシャル機構を備えた3ペダル式6速パドルシフトのマニュアル車である。
パドルシフトを採用していながら、何故、現代のスポーツモデルの様に「2ペダル式セミ・オートマチック車」ではないのか。
その理由は、ステアリング部に装備されるシフト・パドルの他にも、前述のセンタートンネル上にシフト・レバーが据え付けられている事にも関係がある。
 シフト・パドルでの変速操作はバイ・ワイヤー方式を執っているが、電子制御機構である為に動作不良等のトラブルが皆無ではないのだ。
咄嗟の時の緊急手段…或いは、昔ながらのシフト操作を楽しみたい向きの為にも、リンケージを介して変速操作を行うシーケンシャル式のシフト・レバーを残している…と言うものだ。
このシーケンシャル・シフトの操作方法は、凡その予想通りに前方へ押し出す事で1down、手前に引く事で1upとなり、リバース操作はシフトノブ下部に据え付けられているリングを引き上げながら右へスライドさせ、そのまま手前に引く…と言う方式になっている。
 また、3ペダルについてもクラッチを任意で使う事によるトラクション変動を、ドライバーに委ねる意味も含めている。

 実は、この『Sabik』にはマニュアルライクなスポーツモードを備えた2ペダル式5速オートマチック車も存在する。
こちらの5速AT車は、エクステリアを含む見た目そのものは6速MT車とほぼ同じだが、動力&運動性能に於いては明らかな違いを見せる。
最高出力&最大トルクは6速MT車に対して約15%程落ち、タイヤサイズやその他の使用マテリアルについても一般市販車のそれに近い物がある。
また、6速MT車ではオプション設定とされ、任意で機能解除の出来る姿勢制御システム…トラクション・コントロールやヨー・コントロールと言った制御系を統括した『アクティブ・スタビリティ・コントロール』…通称『ASC』を常に機能させる事で、車体の挙動自体をマイルドなモノとしている。
 これは、より気軽に『Sabik』の高性能を味わって貰いたいと言う開発陣の想いも含まれているのだろう。

 だが、本当の『Sabik』らしさを味わうには、乗り手自身で姿勢制御してこその6速MT車を選ぶべきだ、と筆者は考える。

 そして、最後に紹介するのは…
『Sabik』にして『Sabik』以上の運動性能を実現し、3ペダル式7速パドルシフトRMTを備えた特別仕様車…『GT-Maxi (マキシ)』だ。

 この車の解説は、別ページへ譲る事にしよう。……『GT-Maxi 解説ページ



さて、長々と全体像について解説して来たが、これほどの特殊なスポーツカーを作った、カプロイア車輛部門の開発陣には頭が下がる。
単純な「超ハイスペック・マシン」であるならば、技術力さえ有していればどのメーカーでも作る事は可能だろう。
だが、走る事と速さを追求した上で、開発者視点からだけではなく、ドライバー視点からの「操る楽しさ」を忘れていない処に、それこそ「拘り」と言ったものを感じずにはいられない。

スポーツカー発祥の地…聖地とも言うべき欧州に拠を構えるカプロイアだからこそ…
いや、もっと端的に表すならば…
どの様な困難であろうとも覆し、理想を実現してしまうだろう「不思議の国の住人」とも言える伯爵が率いるカプロイア社だからこそ、完成する事の出来た超ド級のハイパースペック…
と言うよりも『夢&謎スペック』の車と言えるだろう。

…カプロイアじゃしょうがない(笑)




 -- 【メカニズム解説】 --

それでは、いよいよメカニズム解説に入ろう。

 この『Sabik』は冒頭での説明通りに、走る事に於いての絶大なる「戦闘力」を意識して作られた事から、ドライブトレインは後輪側へ集中されたFRレイアウトとなっている。
 本来、戦闘力を突き詰め、安定感と機動力と言う相反する要素を高次元でバランスさせるのに適したレイアウトは、多くのフォーミュラカーがそうである様にMR(ミッドシップ)ではあるものの、この『Sabik』はレースカー並のポテンシャルを持っているとは言え、純然たるレースカーではない…所謂「街道レーサー」である事から、前述した車体構成やドライバーの感性を重視した上でFRレイアウトを採用している。

 可変バルブタイミング機構を備える傾斜挟み角90度のV型6気筒直噴Egを、前輪軸より後方に縦置き搭載する「フロント・ミッドシップ」とし、本来ならば、そのエンジンへ直付けされるトランスミッションを後輪軸直前まで後退させ、新開発となるアクティブデフ…「電子制御イニシャルトルク変動型」のL.S.D.(Limited・Slip・Differential)を内包するデフ・ケースと一体化した「トランス・アクスル」方式を採用している。
 この構成は、FRをベースとしたレースカーを制作する際に使われる手法で、これにより前後輪重量配分は45:55の理想的とも言えるバランスを実現している。

 V6エンジンで生み出された力は、クロームモリブデン鋼の軽量フライホイールとカーボン・コンポジット製のプロップシャフトを介し、 2〜5速をクロスレシオ化された6速ミッションへと伝達される。
その後、L.S.D.を通過した出力は、極太の大径リアタイヤによって路面へ叩き付けられ、約1tそこそこしかない軽量な車体を弾丸の如く前へ弾き出すのだ。
その加速力は、名立たる一般市販スポーツカーでは追い縋る事さえ出来ない程の鋭さを見せ、0⇒100km/h加速は実に4秒の壁を切る。

※ 作者・注釈 ※
※ この辺はCtSの世界観から考えると、もっと速くても良いかもしれませんが、リアルで想定するEgスペックと車重から考えると ※
このタイムが妥当かもしれません。…と言うか、このタイムでも尋常じゃないスペックです(^_^;)


 だが、この『Sabik』は暴力的なパワーと途方もない最高速度を目指した「直線番長」などではない。
 この車の神髄は、コーナリング性能とそこからの苛烈な加速力にある。

 サイドウォールの高剛性化を推し進めた、Fr:245/40 ZR18・Rr:305/30 ZR19と言う高い扁平率を持つファットな前後タイヤが路面をしっかりと捉え、レースカーに於いて「生命線」とも言える柔軟な衝撃吸収力を持つダブル・ウィッシュボーンのサスペンション・アームが路面からの衝撃を受け止めた上、可変機構を備えたアンチ・ロールバー(スタビライザー)が更にタイヤを路面に押し付ける。
そして、脚廻りから伝わる路面状況をアルミ押し出し材を多用したフレーム類と、「捻り剛性」を突き詰め、カーボンで強固に武装されたバスタブ式のモノコックが、細大漏らさずにドライバーへ情報提供する。
 これら全てが調和し、『Sabik』のボディは路面に張り付いた様な安定感と、柔軟でしかも機敏に反応する脚廻りをもって、何処までも回り込んで行くかの様な旋回性を実現するのだ。

 ところが、その「安心感」にも似た印象を与える従順な性格も、コーナーの出口が見え、いざ、加速を始めようとドライバーがスロットルを踏み込んだ瞬間に豹変する。

 路面を捉えるタイヤ、衝撃を吸収するサスペンション、脚廻りに理想的な仕事をさせるためのフレーム…
それら高いロードホールディング性を誇るシャシーが、ドライバーの意思によって解き放たれようとする暴力的なエンジンパワーを、そのまま全て路面に叩き付けるのである。

 その姿は「陸路の覇者」を名乗るに相応しい程に力強く、あまつさえ、ドライバーにすら勝負を挑み制圧しようとするかの如く、自らの力を開放する。
この時の『Sabik』は、とてつもないじゃじゃ馬ぶりを発揮し、極めて『ピーキーな車輛特性 (※注※)』をドライバーに突き付けて来る。
あたかもテイクオフするかの様な強烈な加速Gを伴いながら、その瞬間のドライバーは、こう感じることだろう。

 「自分を包む空間ごと、スリングショットによって撃ち出されるパチンコ玉になった様だ」…と。



 この…下手に触ればやけどをしそうな程の官能的なスペックは…「車と共に走り、車の全てを感じ取り、車と対話が出来る」…そんなドライバーにこそ体験して欲しい。
…力で捩じ伏せようとするドライバーには同じく力で対抗し、機嫌を伺うドライバーには力でもって振り落としに掛かる…

 有り余るパワーを力で捩じ伏せるのではなく、車がどう動きたいかを瞬時に察知し理解し、それを促す事の出来るドライバー。
 車の機嫌を伺いながら慎重な操作に徹するのではなく、車の動きに同調し動きたい様に動かしながらも、その動きをコントロール出来るドライバー。
 間違いなく『Sabik』は、そんなドライバーを待ち望み、出逢えたならフルスペックで挑み掛かって来る事だろう。
 何故ならばこの車は「ドライバーと共に走り、共に風を感じ、共に戦う…そして、共に『速さ』を追求し続ける」…そんな車なのだから。

 そして、その『Sabik』を見事手懐けられた時、あなたはドライバーとして最高にしてスリリングなある感覚…風と大地とマシンと人…その全てが一体となったかの様な感覚…『Riding-High』を感じ取る事が出来る筈だ。


「Riding-High」を体現出来る、数少ないピュア・スポーツ…

『Sabik』とは、まさにそう言うマシンであり、ターマック・キングを名乗るに相応しいモンスターなのである。







以上が、今回提出させて頂く案件内容です。
解説内ではメーカー(メガコーポ)名を【カプロイア】と致しましたが、メガコーポと当車輛【Sabik】の
それぞれのキャラクターから、あくまで『仮』として特定させて頂きました。

それでは、精査の程、宜しくお願い致します。

--- 2011,04/21 Thursday by "J,J"Hiro ---




当車輛【Sabik】は、潟Nラウドゲート運営のWTRPG【CATCH the SKY -地球SOS-】内
Webゲーム「ホープレース」に於いて実装される運びとなりました。(ゲーム内表記【サビク】)

採用&実装に於いて、ご尽力頂きました関係者さま方へ感謝の意を述べさせて頂きます。

--- 2011,06/21 Tuesday by えぼるぶ ---

【Sabik】実装時・紹介記事 【Sabik】実装後・ゲーム画面
御用の際はコチラまで♪ (♪を@に変更して下さい)
☆を@に変えて下さい

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